2024.08.09

公道を走れるレーシングカー!メルセデス AMG ONE日本上陸第1号車「納車式」レポ

車種、モデル

西新宿

2017年のフランクフルトモータショーで発表され、同年の東京モーターショーでも展示されたメルセデスAMG ONE。2022年の市販車生産開始から2年経ち、いよいよ記念すべき日本上陸第1号車のデリバリーがおこなわれました。メルセデス・ベンツ西新宿で行われた納車式の模様をお届けします。

 

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自動車レースの最高峰といえば、F1であることに異議を唱える人はいないでしょう。TVの地上波で放送されなくなって久しいですが、CS放送で予選と決勝はほぼリアルタイムで見ているライターの萩原です。

 

現在のレギュレーションであるグランドエフェクトカー(流体力学をもちいてダウンフォースを追求した車体)に変わる2021年まで、メルセデスAMG F1チームは常勝集団でした。しかし2022年シーズンはジョージ・ラッセルのわずか1勝にとどまり、2023年シーズンは1度もポディウム(表彰台)の中央に立つことはありませんでした。

 

そして迎えた2024年シーズン。序盤は苦戦しましたが、第9戦のカナダグランプリから風向きが変わり、第11戦のオーストリアグランプリでジョージ・ラッセルが優勝。続く第12戦では母国グランプリとなる、ルイス・ハミルトンが優勝と連勝を飾りました。

 

ルイス・ハミルトンは2021年の第21戦サウジアラビアグランプリ以来の優勝となり、今後の躍進に期待がもてます。

▲2017年10月開催の東京モーターショーに公開されたメルセデスAMGプロジェクト ワン

F1マシンは地上を走行する最も速い乗り物ですが、一般車とならんで公道を走ることはできません。しかし、F1マシンの高いパフォーマンスを継承しつつ、公道を走行できるクルマが存在します。それが今回ご紹介するメルセデスAMG ONEです。

▲メルセデスAMGプロジェクト ワンのリアスタイル

AMG ONEは、AMGの創立50周年を記念するため、2017年秋のフランクフルトモーターショーで「メルセデスAMG・プロジェクト ワン」として発表されました。同年10月開催の東京モーターショーにも展示されていたのを覚えていらっしゃる方も多いことでしょう。

▲バタフライドアを開けたメルセデスAMG ONEのフロントスタイル

わずか275台の限定生産で、当時の販売価格は300万ユーロ(現在のレートで約4億2000万円)と言われていますが、すでに予約は終了したそうです。

▲空気の流れが見えるような流麗なリアスタイル

当初2019年から生産開始となるはずでしたが、厳しくなった各国の環境規制に対応させるため開発が遅れて2022年にようやく市販バージョンが完成。イギリスのグッドウッド・サーキットで開催された「フェスティバル・オブ・スピード」において初走行をおこなっています。

▲1.6L V6ターボエンジンをミッドシップに搭載

メルセデスAMG ONEはカーボンモノコックを採用したボディに、最高出力574psを発生する1.6L V6ターボエンジンと4つのモーターを組み合わせた、システム最高出力1063psに達するプラグインハイブリッドシステムをミッドシップに搭載。

 

組み合わされるトランスミッションは7速AMTで、駆動方式は4WDを採用。最高速度は352km/h、0-100加速は2.9秒というハイパフォーマンスを発揮します。

▲オーバーハングが短く前後の重量バランスも絶妙

F1マシンを開発するメルセデスAMGが手がけた「公道を走行できるレーシングカー」といえるメルセデスAMG ONE。この、日本上陸第1号車の納車式がメルセデス・ベンツ西新宿で行われました。

 

市販モデルが公開されてから約2年。ようやく記念すべき第1号車の納車を迎えた2024年7月。当日はメルセデス・ベンツ日本だけでなくドイツ本国からもスタッフが来場するなど、ショールームに心地よい緊張感が漂います。

▲トレーラーから降ろされるメルセデスAMG ONE

そしてメルセデスAMG ONEを積載したトレーラーがメルセデス・ベンツ西新宿の前に到着すると、スタッフの緊張感が最高潮に達します。トレーラーのリアゲートが開き、ついにメルセデスAMG ONEが姿を現しました。

▲ステアリングにはF1と同じようにたくさんのスイッチが配置されている

メルセデスAMG ONEは特別にレクチャーを受けたスタッフだけに操作が許されています。それ以外の人がエンジンを始動させることもできません。公道を走行できるレーシングカーのメルセデスAMG ONEは店舗内に入れるのも大変です。

▲フルバケットタイプのシート

メルセデスAMG ONEにも車内のスイッチでフロントの車高を上げる「リフター」機能が装着されています。特に、ロードクリアランスのないメルセデスAMG ONEで、歩道への段差を超える時は全スタッフが最も緊張した瞬間だったかもしれません。

▲タイヤサイズはフロントが285/35ZR19、リアは335/30ZR19

無事にショールームに収まったメルセデスAMG ONEは、オーナーが来られるまでヴェールがかけられて静かにその時を待ちます。そしていよいよオーナーが到着。実に7年越しに愛車と対面という瞬間に立ち会わせていただきました。

▲オーナーの目の前でアンヴェールされたAMG ONE

記念撮影が終わると、早速スタッフとのレクチャーが始まります。ハイパーカーゆえ、市販車のようにスタートボタンを押してすぐに走行というわけにはいかないそうです。このようなレクチャーを、専門スタッフから受けるというのも、オーナーだけが味わえる至極の時間と言えます。

 

日本にはわずか数台が輸入される予定というAMG ONE。公道を走行している姿を見てみたいものです。

萩原文博(はぎはら・ふみひろ)

 

AJAJ会員。大学在学中から中古車情報誌の編集部にアルバイトで参加。卒業後は編集者として企画立案し、ページ製作を行う。2006年からフリーランスエディター/ライターとして独立。2015年からは、新車カタログ本製作を担当し年間200台以上の新車試乗・撮影を行っている。

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