2024.10.03

猛暑を乗り切ったらぜひチェックしたい”バッテリーの消耗具合

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クルマにはさまざまな重要部品が使われています。バッテリーもそのひとつ。バッテリーは使い続けるうちにだんだんと性能が落ちてしまうため、定期的な交換が必要です。その性能の落ち方は均一ではなく、酷使することで急激に進行します。バッテリーにとって過酷な環境は、暑い夏と寒い冬。バッテリーに厳しい季節に入る前や厳しかった季節が終わった後には、バッテリーの状態をチェックしておくことをおすすめします。

 

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今年は真夏の暑さですっかり弱ってしまった高橋です。

 

クルマに搭載されるバッテリー(ハイブリッドカーや電気自動車の駆動用バッテリーと区別するため補機バッテリーと言うこともあります)は、発電機(ISG、BSG、オルタネーターなど)が発電した電気を蓄える場所。そして蓄えた電気をエアコンやライトなどの電装品を動かすために使っています。

 

バッテリーは使っているうちにだんだんと劣化し、電気を蓄える能力(電圧)が落ちてしまいます。現代のクルマはライト類やエアコン以外にもディスプレイ、電子制御をつかさどるセンサー類や先進安全装備などが搭載されているため、昔のクルマよりもたくさんの電気を使っています。

 

クルマの乗り方によって変わってくるため一概には言えませんが、一般的にバッテリーの寿命は3〜5年程度と言われています。宮園輸入車販売のメルセデス・ベンツ正規ディーラーでも法定点検や車検などでユーザーからクルマを預かった際にバッテリーの状態を確認し、弱ってきている場合は早めの交換をおすすめしているそうです。

 

JAFロードサービスの出動理由1位はバッテリー

▲一般道路ではバッテリー関連のトラブルがもっとも多い

上の表は、一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)が発表した「JAFロードサービス 主な出動理由TOP10<2024年7月[四輪]>」です。一般道路での救援でもっとも多いのが「過放電バッテリー」、つまりバッテリー上がりなんです。

 

一般道路とは高速道路以外の場所になるため、自宅駐車場なども含まれます。そのためエンジンを切った際にライト類を消し忘れたり、半ドアになっていて室内灯が消えていない状態で放置したことなどが考えられます。

 

また、エンジンはISGやBSG、セルモーターを使って始動しますが、それらを動かすだけの電気がバッテリーに十分蓄えられていなくてエンジンをかけられないケースもあります。バッテリー自体が弱っていると、この症状が出てしまうのです。

 

現代のクルマにとってバッテリーの健康度は超重要

▲快適装備や先進安全装備が多数搭載されている分、クルマが使う電気の量が増えている(写真の仕様・装備は、日本仕様と異なる場合があります)

真夏はエアコンを酷使するため、発電する以上を消費しバッテリーに過度な負担がかかります。バッテリーが弱っていると蓄えられる電気が少なくなって、エンジンを切ったとき、次にエンジンをかけられるだけの電力が残っていない場合があるのです。

 

特に怖いのが渋滞時。クルマの発電機はエンジン回転数に連動して発電できる電気が増えるため、エンジン回転数が上がらない渋滞では十分な発電ができない可能性が高くなります。

 

真冬もバッテリーにとって過酷な季節。みなさんもスキー場でスマホが起動しなくなったという経験があるのではないでしょうか。クルマのバッテリーも同じで、気温が低くなると内部のバッテリー液の温度が下がりバッテリーの性能が低下してしまいます。経年劣化でバッテリーが弱っているところに性能低下が重なると、エンジンを始動するだけの電気を放出できなくなることがあるんです。

 

では、真夏や真冬でなければバッテリーへの負担は少ないのでしょうか。答えは「YES」。ただ、負担が少ないからといって無頓着でも大丈夫かというと、そうでもないのが難しいところです。

 

大昔なら春や秋だとエアコンを付けずに窓を開けて走っていた人が多かったのですが、今は1年を通じてオートエアコンで車内を快適な温度に保っている人がほとんど。つまり現代のクルマは季節を問わず多くの電気を消費しているのです。さらに春や秋は大丈夫でも、すぐに暑い夏や寒い冬がやってきます。バッテリーにとって過酷な季節を乗り切った後、夏や冬の前にはバッテリーの性能が低下していないかを確認しておくことをおすすめします。

 

ECOストップしなくなったら要注意!

▲バッテリー性能が落ちてくるとECOスタートストップの警告灯が点灯する。このような症状が出たらすぐに正規ディーラーで点検を!

もしバッテリーの性能が弱っていることに自分で気づくことができれば、慌てずに正規ディーラーで整備を依頼することができます。バッテリーが弱ったときにはどんな症状が現れるかをメルセデス・ベンツ武蔵野のメカニック、菅井健太さんに聞いてみました。

 

菅井:昔のクルマだとハロゲンのヘッドライトが暗くなってきたり、パワーウインドウの開閉が遅くなったりしたのですぐにわかりましたが、今のそれらでバッテリーの劣化を見極めるのは難しくなっています。すぐにわかるのはECOスタートストップ機能(アイドリングストップ)の警告灯ですね。バッテリーの性能が落ちてエンジンの再始動が難しくなってくると警告灯が点灯し、ECOストップせずエンジンがかかりっぱなしになります。

 

エンジン始動はバッテリーに大きな負担がかかります。警告灯が点灯した状態を放置するといつエンジンがかけられなくなるかわからないので、すぐに正規ディーラーでバッテリー交換をしてください。

 

もちろん警告灯が点灯していなくてもバッテリーが弱っている可能性はあります。メカニックたちは入庫したクルマのバッテリーの状態をどのように把握するのでしょう。

 

菅井:バッテリーは使用年数だけでなく、電装品の使い方や乗り方によっても状態が大きく変わります。たとえば通勤で毎日数十km走行して週末は遠出をしているクルマと、週に1度程度クルマで出かけるというクルマだと、バッテリーが弱っている可能性が高くなるのは後者です。まずはお客様のクルマの使い方を伺ったり、走行距離などから乗り方を推測します。入庫したクルマは診断機やテスターをつないでバッテリーの状態を正確に把握し、劣化が確認できたらお客様に交換をおすすめしています。

▲メルセデス・ベンツの純正バッテリーはマイナス端子の上部に書かれた4桁の数字で製造年月を表示。「1423」は(20)23年の14週目に製造

バッテリーのチェックは短時間で済む作業です。来店予約をしておけば、チェックまでの待ち時間もありません。もちろん定期点検整備の際には必ずバッテリーの状態を確認しますが、季節の変わり目にバッテリーの状態を正規ディーラーで確認しておくと安心してドライブを楽しめるようになりますよ。時間のあるときに一度点検をお願いしてみましょう。

 

(高橋満)

高橋満(たかはし・みつる)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経て1999年にエディター/ライターとして独立し、自動車、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。最近はゴルフに興味が出てきていて(まだデビュー前ですが)、Eクラスステーションワゴンのようなラゲッジが広くて快適に移動できるクルマに興味津々。

 

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