災害や事故などで、愛車が傷ついたり凹んでしまった場合にお世話になるのが板金塗装工場。メルセデス・ベンツ中野はじめ宮園輸入車販売でその任務を担うのが、自社工場の所沢BPセンターです。実は日本でも数少ないといわれるメルセデス・ベンツ指定工場でもある同施設。2023年4月にリニューアルをし、さらに技術レベルが向上したという、その現場を直撃してきました。
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生まれてこのかた大きな事故はないものの、縁石にうっかり乗り上げるなどつまらない自損が多い熊山です。
いずれにせよ、災害や事故などで愛車のボディが傷ついたり凹んだりすると、お世話になるのが板金塗装工場。メルセデス・ベンツ中野をはじめとした宮園輸入車販売では、一般的な整備・車検工場とは別に、こうしたトラブルに備え「所沢BPセンター」という自社工場をかまえています。確かに事故に遭った愛車が、どこでどうやって修理されているのか気になるもの。というわけで今回は、日本でも数少ないメルセデス・ベンツ指定工場にして、2023年春に大規模リニューアルを果たしたという所沢BPセンターにお邪魔してきました。
所沢BPセンターがあるのは、その名の通り埼玉県所沢市…ではなく、実際は入間郡三芳町の国道463号線沿い。いわば所沢エリアというわけですが、ユーザーがこの所在地を気にする必要はありません。なぜならば、メルセデス・ベンツ中野の販売店網のうち唯一、ユーザーが訪問する可能性ほぼゼロの施設だからです。
岩崎:基本的にこちらに入庫するクルマは、自走可能ならいったん各担当販売店に持ち込まれたあと、もしくは自走不能であれば直接、それぞれローダー(積載車)でBPセンターに運ばれるという流れになっています。
そう話すのは、2023年春のリニューアルから所沢BPセンターの所長をつとめている岩崎光春さん。余談ですが名前でピンとこられた方は、当ブログの熱心な読者かもしれません(参照記事 https://www.miyazono-importedcars-sales.jp/blog/ducati/)。
さて、所沢BPセンターは板金塗装工場とのことですが、具体的にどんなことをやるんでしょうか? というか、そもそもBPって何のことですか?
岩崎:BPはボディペイントの略で、英語だと単に塗装だけでなく板金修理全般を意味します。ここではお客様からお預かりしたクルマの凹みやキズを叩いたり、パーツを交換するなどして直し、塗装や磨きで元の状態に戻すのが主な業務です。もっとも、それとは別に板金塗装作業にいったいどれくらいの費用がかかるのか、サービスアドバイザーが見積って保険会社等と交渉するのも大きな役割のひとつです。
なるほど。クルマが損傷したということは、自損他損いずれにせよ自動車保険がかかわってきますものね。では、話がこじれるといつまでも修理できないクルマなんてものも?
玉田:昔はあったんですけど(笑)、さすがに最近はないですね。やっぱり交通事故などで相手側の保険会社ともなると、なるべく修理費用を安くあげたいので値下げ交渉をしてくるんですが、我々としてはお客様にとってベストな条件を引き出すべく根気強く話し合いをして、クルマを元の状態に戻せるよう努力しています。
と話すのは次長の玉田政樹さん。晴れて交渉成立!となれば板金塗装が始まるわけですね。
進藤:実際は、交渉中からパーツの取り寄せや一部板金作業など、できることを始めています。やはりお客様を待たせるわけにはいきませんからね。
そう話すのは工場長の進藤雅也さん。では具体的にどのような流れで板金修理をおこなうのでしょうか。
進藤:まず、BPセンターは大きく2️つの工場に分かれています。ひとつが凹んだり傷ついたりしたボディを叩いて直したり、パーツを交換したりする板金工場。もうひとつが、直したボディやパーツを塗り直す塗装工場です。ほとんどの場合は、板金工場でボディを直した後、塗装工場でペイントして、板金工場でボディを組んで、最後に工場の脇にあるスペースで洗車や磨きなどの仕上げをおこなって終了です。
こうして所沢BPセンターでは多いときで月に100台ていどの板金修理をこなせるとのこと。そんな同工場のウリってなんでしょうか?
岩崎:やはり審査の厳しいメルセデス・ベンツ指定の板金塗装工場という点でしょうか。この指定工場じたい実は日本では数少ない上に、工場ごとにリペアレベルというのがありまして、所沢BPセンターは長年レベル1だったんですが、リニューアル後、2024年5月にはレベル2に昇格しまして、今までできなかったような修理も行えるようになったんです。
ちなみにこのリペアレベルはレベルに応じて修理ができる範囲が定められているほか、そのレベルに達していないとそもそも取り寄せができないパーツもあるほど厳格に運用されているのだそう。
岩崎:もともと所沢BPセンターは1990年代初頭にオープンして長年運用してきたのですが、環境問題やEVへの対応や、先ほど話題に出たリペアレベルのアップのため、2023年春に大規模リニューアルをおこなったんです。特に塗装工場は従来の溶剤系塗料から水性塗料へと変わり環境負荷が軽減されました。また、車体をまるごと塗装できる2つのブースも備えたので技術、処理能力ともに飛躍的に向上しました。
こうして社会の要請にこたえつつ、さらに自社工場ならではの小まめなサービスや高い技術で、よりお客様に満足いただける板金修理がおこなえるのではないかと自負しています。
最後に、BPセンターに繁忙期はあるのかを、岩崎所長にうかがったところ。
岩崎:盆暮れ正月といいますか、やはりロングドライブが増える大型連休の後はご依頼が増える印象ですね。あとはヒョウや大雪などの自然災害。お天気ニュースで首都圏が荒れるとわかると「これは大変なことになるぞ…」と現場は戦々恐々とします。が、お客様をお待たせしないよう、気合を入れてがんばります!
昨今増えている天候災害の裏で、BPセンターもフル稼働されていたんですね。ともあれユーザーにしてみれば、正規販売店に責任をもって板金修理を担当する自社工場があるということは、安心してメルセデスに乗り続けられる理由のひとつとなっているのかもしれません。
(熊山 准)
熊山准(くまやま・じゅん)
中古車情報誌『カーセンサー』(リクルート)編集部を経て、ライターとして独立。クルマに限らずおもちゃ、家電、ガジェットなどモノ全般が大好物。現在はライフワークの夕焼けハントが嵩じて東京と沖縄で二拠点生活中。いま欲しいメルセデス車はCクラスワゴン
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