2020年前後から日本でも注目されるようになった電気自動車(EV)。メルセデス・ベンツでは、2019年にEQCを導入。その後、EQA、EQBと次々にニューモデルを導入し、現在はEQE、EQSを含む7モデルをラインナップしています。ガソリン車やディーゼル車と違いガソリンスタンドでの給油が必要ないEVですが、一方で普段の充電をどうしたらいいかがわからなくて購入を悩んでいるという人いますよね。特に都市部で暮らしていて自宅がマンションだと充電設備を設置しづらいので不安も大きいはず。宮園輸入車販売ではそんなお客様にどうご案内しているか、を聞いてきました。
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撮影などで最新EVに乗るたびに、圧倒的な加速性能や静粛性に驚かされるライターの高橋です。
東京電力エナジーパートナーズが運営する「EV DAYS」というWEBサイトを見ていたら、こんなデータが掲載されていました。
このデータは2017年に経済産業省製造局自動車課が発表した資料ですが、マンションなどに住んでいるとEVに興味を持っていてもなかなか購入にまで至っていないことがわかります。
その理由が“充電問題”であることはすぐに想像できます。EVの場合、ガソリン車やディーゼル車のようにガソリンスタンドで簡単に給油ができるわけではありません。EVは充電に時間がかかるので、自宅に充電設備がないと快適なEVライフを楽しむのは難しい。そう考える人が多いのでしょう。
一方で、マンションなどに住んでいてもEVを購入している人もいます。私はこれまで何人ものEVオーナーを取材していますが、マンションで暮らしている人や自宅外の月極駐車場に停めているという方もいらっしゃいます。共同住宅に住んでいる人たちは充電問題をどうクリアしているのでしょうか。これまで多くのEVを販売してきた、メルセデス・ベンツ西新宿のセールススタッフ上河原龍弥さんに話を聞いてきました。
上河原:EVにお乗りでマンションに住んでいらっしゃるお客様が多いか少ないかと聞かれたら、少ないのが実情です。
上河原さんはマンション住まいのお客様と話をする際、充電をどうするかの前にまず確認することがあるそうです。それはクルマを保管しようと考えている駐車場の条件。自宅マンションが機械式駐車場だとクルマのサイズが制限をオーバーしてしまうことがあります。またEVの場合、サイズに加えて車両総重量の制限を超えてしまうこともあると言います。
上河原:機械式の駐車場はもちろんですが、マンションだと自走式の立体駐車場でも車両総重量が2000kg以下などに制限されているケースがあるんですよ。重いリチウムイオンバッテリーを搭載するEVは、もっとも小さなEQA250プラスでも車両重量が1980kgあり、最大定員が乗車した車両総重量は2トンを超えてしまいます。せっかくご購入いただいたのに駐車場に置くことができないということがないよう、駐車制限は最初に確認するようにしています。
なるほど。機械式駐車場で全幅や全高の制限の関係でSUVなどを入れることができないことがあるのは知っていましたが、自走式駐車場でも重さの制限があるのは盲点でした。EVを検討している方は、まず管理会社に駐車条件を確認しておく必要がありそうですね。
駐車条件がクリアできたとして、マンション住まいでもEVライフを楽しむことはできるものでしょうか。
上河原:充電に関するご心配をなくしたいのであれば、ご自宅に充電設備があることが理想です。でもマンションにお住まいでEVを楽しまれている方ももちろんいらっしゃいますし、一戸建てにお住まいでも充電設備を設置していない方もいらっしゃいます。その方はしばらく乗ってみて必要なら充電用ウォールユニットを設置すると話してらっしゃいましたが、まだ設置されていないですね。
つまり、どうにかなっているということですよね。
メルセデスのEVには大容量のリチウムイオンバッテリーが搭載されているので、WLTCモード(※)での一充電走行距離が長いのが特徴です。もちろん走行できる距離は道路状況や走行モード、季節などにより変わってきますが、たとえば平日に通勤や買い物などで使うのであれば、すぐに電気がなくなるということもないでしょう。
上河原:充電は宮園輸入車販売の店舗をはじめ、メルセデス・ベンツの正規ディーラーに設置してある急速充電器をお使いいただけますし、最近はコンビニやショッピングモール、公共施設など急速充電器を設置している施設が増えています。私のお客様にもホテルにある急速充電器を使って、充電中にリモートでお仕事をされているという方がいらっしゃいます。
※WLTCモード:国連の自動車基準調和世界フォーラム参加国によって合意された統一パターンを使用した計測方法。一充電走行距離は完全に充電された状態から連続走行できる距離のこと。WLTC=Worldwide harmonized Light vehicle Test Cycle
EVに乗り始めると、ガソリン車やディーゼル車と同じように遠方へのドライブを楽しむ機会もあるはずです。EVオーナーに話を聞くと、電気の残りが少なくなってから充電スポットを探すのではなく、休憩タイミングに合わせて細かく充電していくとストレスにはなりづらいといいます。
たとえば高速道路での移動中にサービスエリアに立ち寄った場合、お手洗いに行きコーヒーを1杯飲んで…と休憩すると30分くらい経過しているもの。充電を待つ時間がストレスになることは少ないはずです。それにこまめに充電することを意識すれば、仮にサービスエリアの急速充電器が使用中だった場合も「じゃあここではなく次の休憩場所で充電しよう」と切り替えることもできます。
上河原:今は多くのゴルフ場に充電器が設置されていますし、充電器があるホテルや旅館も増えてきました。旅行に行くエリアにもよりますが、宿泊先で一晩充電できれば帰りはご自宅まで充電なしで帰れるでしょう。
ところで、EVに乗ることになったので自宅マンションに充電器を設置したいと思った場合はどうすればいいのでしょうか。駐車スペースはマンションの共用部分なので、勝手に充電器を設置することはできません。管理組合や理事会に申請して、住民の合意を得る必要があります。
上河原:お客様から充電器設置の相談を受けることもありますが、現状では設置費用や電気代の費用負担で、EVにお乗りでない方の理解が得られずに話が前に進まないケースが多いようです。一方で新築のマンションではEV用の充電器が設置されていることが売りになっている物件もあります。
たとえば東京都では2030年までに集合住宅に6万基の充電器を設置することを目標にするなど、EVの普及に力を入れている自治体もあります。今後、充電設備が設置されたマンションが増えていくことに期待したいですね。
最後に、どういう人なら自宅マンションに充電設備がなくてもEVライフを楽しめそうかを聞いてみました。
上河原:ガソリンや軽油を給油するのとは違ってEVは充電する際に30分ほど拘束されてしまいます。なので、毎日忙しくされている方よりもある程度時間に余裕がある方におすすめします。ただ、忙しい方でも空き時間を有効に使うことが上手な方でしたらそこまで心配はないかもしれません。
また、増車をご検討されている方でしたら、お乗りになるクルマの選択肢が増えるので充電の不安も少なくなるはずです。そして一番のおすすめは旅行プランなどを立てるのがお好きな方です。私のお客様でも「あそこのサービスエリアには名物があるからここで充電して」と計画するのを楽しんでいらっしゃる方がいます。スケジュールに余裕をもって旅を楽しむのが好きな方にはEVはピッタリではないでしょうか。
EVという新しいクルマがやってくることで、暮らしは大きく変わるはず。「EVに興味はあるけれど充電設備が心配…」と考えている方は、ぜひ一度メルセデス・ベンツ西新宿、または、宮園輸入車販売の正規販売店で相談してみてください!
(高橋満)
高橋満(たかはし・みつる)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経て1999年にエディター/ライターとして独立し、自動車、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。最近はゴルフに興味が出てきていて(まだコースデビュー前ですが)、Eクラスステーションワゴンのようなラゲッジが広くて快適に移動できるクルマに興味津々。
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