メルセデス・ベンツのメカニックがプライベートで乗っているクルマは何か、ちょっと気になりませんか? なにせメルセデスに精通したプロ中のプロの愛車ですからね。並々ならぬこだわりがあるに違いない。というわけで始めるのが宮園輸入車販売のスタッフ愛車紹介シリーズ。第2回はメルセデス・ベンツ中野 豊島サービスセンターより、デビューから間もないEQBです。
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電気自動車は興味があるけれど、まだまだ実用的ではないんじゃないかなと疑っている熊山です。
そんな誰もが抱きそうな疑問と不安に答えるかのごとく、宮園輸入車販売のスタッフ愛車紹介シリーズ第2回めにご紹介するのは、2022年4月に発売されたばかりのメルセデスEQのSUV型電気自動車「The EQB」です。購入されたのは、当ブログではグルメ番長としておなじみ(?)、メルセデス・ベンツ中野 豊島サービスセンター所長の鎌倉隆史さん。
実は、宮園輸入車販売の中でもEQシリーズを購入した初めてのスタッフだという鎌倉さん。そもそもどうしてEQBを買おうと思ったんでしょうか?
「いまテレビを見てるとガソリン車ってほとんどCMをやってなくて、軽自動車から何まで目にするのはEVばかりですよね。でも本当にEVって良いものなのか、ちゃんとクルマとして使えるのか疑問でした。一方で、年齢的にも還暦を迎えるタイミングで、何か記念になるクルマに乗りたいなと思ったときに、Gクラスも考えたんですが、ご存知の通り納期が長くて買えない。じゃあ、EQシリーズはどうかと。まだ、他の社員もお客さんもほとんど乗っていないうちに乗ってやろう。そうすることでみなさんに話題を提供できるかなとも思ったんです」
「人柱」か「インフルエンサー」か、いずれにせよチャレンジングですし、メルセデススタッフの鑑ですね。
「やっぱりちょっと試乗しただけでは充電環境やランニングコストみたいなことは実感できないし、実際に所有して日々乗ってみないことには売る側としても説得力がない。当然、周りの社員からは『大丈夫ですか?』と心配されましたよね(笑)」
ははは。そのEQシリーズの中でもEQBにされたのは?
「当初EQCにしようかな?と思って社用車を借りて乗ってみたんですが、うちの車庫と相性が悪くあえなく断念。そうこうするうちEQBが発表になって、サイズ的にもちょうどいいし、7人乗りで人も荷物もたくさんのりそうだしで決めました。当然、注文時には実車はなかったんですが、いわばGLBの電気自動車版なのでサイズ感は同じだという安心感はありました」
最初のGクラスやEQCもそうですが、荷物がたくさん載るのは条件なんですね。
「家族と出かける旅行が好きで犬も連れていくからなるべく車内が広いクルマがいいんですよ」
なるほど。そんなこんなで選ばれたEQBですけど、EQシリーズのエントリークラスながら決してお安くはないですよね?
「そうですね。車両本体価格が825万円で、オプションをひと通り付けたり、諸費用だなんだかんだと言ってたら本来は1000万円を超すんですけども、幸い電気自動車に対する補助金が出たりするので、そこまではいかない感じです。ただ、忘れてはいけないのは自宅に充電設備を整えないといけない点で、そっちの工事費もかかりました。もっとも、それも一部補助は出るんですけど」
ちなみにEQ購入者には無料で充電器はもらえるそうですが、いずれにせよ1000万円コースであることに変わりはないんですね。続いては実際のEQBのレビューをうかがいたいんですが、その前に普段のクルマの使いみちや使用頻度ってどんな感じなんでしょうか?
「会社と家が近所なんで、通勤には使いません。平日は娘を駅に送るくらいだから、走行5分ほどですか。土日はゴルフ、買い物、旅行に使いますけど、それもほとんどが100km圏内です」
いわゆるサンデードライバー的な使い方なんですね。そんな鎌倉さんのEQBのファーストインプレッションは?
「アクセルを踏んだ瞬間に──ギアがないから、昔よく遊んだおもちゃのスロットカーみたいに──ものすごいスピードで飛び出していくように加速するのに驚きました。ガソリン車のAMGとはまた違って、クルマの重さを感じさせない不思議な加速感というか。一方で、初めての回生ブレーキに慣れなくて、まだまだギクシャクした運転になってますね。
あとは、単純にエンジン音がしないから、歩行者の方がぜんぜん気づいてくれなくて。もはや『こっちのことは気づいていないんだ』という前提で運転するようになって、かえって飛ばさなくなったし、結果的に安全運転になったかもしれません」
それはいいことですね。特に気に入っている点はありますか?
「なかなか珍しいマットグレーのカラーリングと、開放感のあるパノラミックスライディングサンルーフと、エクスクリーシブパッケージの革張り内装ですかね。なかでも室内のイルミネーションというか、64色に変わるアンビエントライトのきらびやかさにはうっとりしますよね」
ほぼすべてお気に入りじゃないですか。読者が気になるランニングコスト=電費はいかがでしょうか?
「普段はDモードで運転してるんですけど、思ったよりバッテリー消費が激しい印象です。だからなるべく暖房の設定温度は下げて、そのぶんシートヒーターで温めて。まだ冬場の2ヶ月しか乗っていないから、夏場エアコンをかけっぱなしにしたらどうなるのか未知数ですね。いずれにせよ、今は『思っている航続距離の7割くらいしかもたない』印象かな」
となると、充電スタンドの整備状況も気になるところですよね。
「そう思って、納車されたばかりの12月に栃木県の那須まで1泊2日のロングドライブにいったんですよ。その道中でパーキングエリアやら宿やら、いろんな場所で充電してみたんですが、急速充電の方式が違っていたり、充電スタンドの電圧不足だったり、順番待ちで時間がかかったりで、スムーズにチャージできないことが続いて正直ヒヤヒヤしぱなっしでした。自宅に充電設備があって、ご近所を走り回るなら何の問題もないけど、遠出するとなったらそれなりに下調べして充電の予定を組んでおかないといけない。こうしたことも、実際に所有して経験してみないとわからないことなので、EQBを購入した意義はあったと思いますけどね」
鎌倉さんや奥さんの実家に帰省されるとなると?
「うちは山形と広島なんですけど、今はまだちょっと怖いかな(笑)」
最後にEQBのメリットをまとめると?
「スムーズな走り、加速感、静粛性、そして所有感かな。あと、言い忘れましたけど長距離ドライブでぜんぜん疲れないんですよ。レーダーセーフティでほとんどハンドルに手を添えているだけで目的地に着いちゃうんで。本当に子どもの頃に夢見たクルマだなって思います」
なるほど。鎌倉所長ありがとうございました。こりゃあ、半年後や1年後にまたインタビューした方がよさそうですね。その頃またお話を聞かせてください!
(熊山准)
●プロフィール
熊山准(くまやま・じゅん)
中古車情報誌『カーセンサー』(リクルート)編集部を経て、ライターとして独立。クルマに限らずおもちゃ、家電、ガジェットなどモノ全般が大好物。現在はライフワークの夕焼けハントが嵩じて東京と沖縄で二拠点生活中。いま欲しいメルセデス車はAクラスセダン
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