2025.04.10

V8のAMG63かBEVのG580か…ドリキン土屋圭市氏が選ぶのはどっち?

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1979年に最高級クロスカントリービークルとして登場して以降、進化し続けているのがメルセデス・ベンツGクラスです。高い悪路走破性とラグジュアリーカーの乗り心地を両立した他に例のないモデルです。今回は最新のGクラスであるAMG 63と、BEV(電気自動車)のG580をさまざまな角度から比較するとともに、ドリキンこと土屋圭市さんによるインプレッションもご紹介します。

 

 

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2018年の大幅アップデートで、ラグジュアリーSUVへと進化

▲パワフルな走りは変わらないが、静粛性の高さが際立つG580

ライターの萩原です。

 

先日、日本自動車輸入組合(JAIA)が主催する大規模試乗会に参加してきました。メルセデス・ベンツも8台出展し、そのなかでも話題の電気自動車(BEV)である、メルセデス・ベンツG580にドリキンこと土屋圭市さんに試乗インプレッションお願いしました。

 

そこでメルセデス・ベンツの中でも卓越したブランド力をもつ“Gクラス”をあらためてご紹介。さらにGクラスのフラッグシップモデルであるV8エンジンを搭載したAMG G63と、BEVのG580の比較もおこなってみたいと思います。

▲舗装路での乗り心地はSクラスに匹敵するAMG G63

1979年、軍用車両の「ゲレンデヴァーゲン(ドイツ語でオフローダーの意味)」を民生用にアレンジをおこない、最高級クロスカントリービークルとしてメルセデス・ベンツGクラスは誕生しました。以来、基本的なスタイリングや堅牢なボディはそのままに、常に最適なパワートレインや装備を採用しながら進化を続けています。

 

1989年にフルモデルチェンジをおこない、2代目モデルが登場しました。そしてメルセデス・ベンツGクラスの約45年以上の長い歴史の中で最も大幅に改良されたのが、2018年のアップデートです。Gクラスの伝統をメルセデスベンツの最新技術で刷新することで、オンロードおよびオフロードにおいて最適なパフォーマンスを実現する究極のオフローダーとして進化しました。

▲写真上がAMG G63のリアスタイル。下のG580はスペアタイヤではなく、バッテリーケーブルを入れる四角にデザインボックスを採用

2018年のアップデートは広範囲に及ぶので、ここでは重要なポイントを紹介します。

 

まずは“約170kg軽量化したボディ”です。クルマの屋台骨となるラダーフレームを新設計しているのをはじめ、ボディの骨格やAピラー及びBピラーには耐荷機能を考慮して高張力スチールを採用。フェンダー、ボンネット、ドアはアルミニウムを採用するなどボディパーツごとに最適な素材を採用して約170kgの軽量化を達成しています。

 

そして“新型のステアリング”です。従来のボール&ナット形式から電動機械式ラック&ピニオン式のステアリングに変更し、ドライビングフィールを大幅に向上させています。選択したドライブモードに応じて、ステアリング特性を切り替えることができ、未舗装の不整路などでは直接的で正確なフィードバックが得られるだけでなく、ハンドルのキックバックもなくなっています。

▲写真上がAMG G63、下がG580のインストルメントパネル。使われるマテリアルは異なるがデザインは同じ

さらに2018年の大幅アップデートに続いて、2024年7月にメルセデス・ベンツGクラスに改良が加えられました。新たにISGを搭載したパワートレインの電動化をはじめ、新世代の運転支援機能「ドライビングアシスタンスパッケージ」の搭載や、MBUXによるデジタル化などによってさらなる進化を遂げています。

 

 

最新のGクラスはAMG G63やBEVを含めた3モデルを用意

 

また同年10月にはGクラスのBEVである“G580 with EQ Technology Edition1”を設定し、G450d ローンチモデル、AMG G63 ローンチモデルの3モデルを設定しています。車両本体価格は、G450d ローンチモデルが2110万円、AMG G63 ローンチモデルが3080万円。そしてG580 with EQ Technology Edition1が2635万円となっています。

 

それでは、現在のGクラスのフラッグシップモデル、AMG G63 ローンチモデル(以下AMG G63)とG580 with EQ Technology Edition1(以下G580)を比較してみましょう。

▲上がAMG G63ローンチエディション。下がG580 with EQ Technology Edition1

まず外観ですが、一見するとAMG G63とG580との違いはわかりません。しかし、後端を持ち上げた力強いボンネットフードや空気抵抗を減らすためにリアアーチモールに加えられたエアカーテンなどG580には随所にBEV専用のアイテムが採用されています。

▲G580はスペアタイヤではなく、リアに充電ケーブルなどを収納できるデザインボックスを設置

また従来スペアタイヤを搭載しているテールゲートですが、G580ではそれに代わり、充電ケーブルや工具を収納したスタイリッシュなデザインボックスが備わっています。

▲写真上が、AMG G63に搭載されている4L V8ツインターボエンジン。下のG580のボンネット下には音を発生する装置などを収めている。モーターは4輪の近くに配置される

搭載しているパワートレインは、AMG G63はアファルターバッハにて「One Man, One Engine」(メルセデスAMGの哲学で、ひとつのエンジンを1人の技術者が組み上げること)の原則にのっとって生産される4L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載。それにAMGスピードシフトTCT9速ATが組み合わされます。

 

これは最高出力は585ps、最大トルク850Nmを発生。さらにISG+48V電気システムの搭載により電動化され20ps/200Nmの電動ブーストにより0-100km/h加速をわずか4.4秒で達成しています。

▲写真上のAMG G63は21インチタイヤの中に赤いキャリパーを収める。下の青いキャリパーのG580は20インチタイヤを装着する

対してG580は、メルセデス・ベンツのBEV初となる革新的な4輪独立式モーターを搭載。4輪それぞれのホイールの近くにモーターを配置し、2速のトランスミッションと制御システムとともに、eATS(電動パワートレイン)を形成しています。

 

最高出力147psを発生する各モーターは、システムトータルで587ps、最大トルク1164Nmを発生。またG580は116kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、満充電時の走行可能距離は530kmを実現しています。

▲写真上のAMG G63のセンターパネルにはデフロックのスイッチが並ぶ。対して下のG580はその場で回転するGターンや小回りが効くGステアリングのスイッチを配置する。

AMG G63のセンターパネルには、フロント/センター/リアの3つのディファレンシャルロックを操作するスイッチを設置。対してG580のセンターパネルには、オフロードの未舗装路などでその場で最大2回転まで旋回可能な“G-TURN(Gターン)”と、オフロードの未舗装路など走行時に大幅な回転半径を縮小できる“G-STEETING(Gステアリング)”機能を採用。これら2つの機能は確認のモーターの駆動トルクを個別に制御することにより実現できる機能で、これはEQモデルならではの装備となっています。

 

というわけで、最新Gクラスの解説はここまで。いよいよ土屋圭市さんのG580 with EQ Technology Edition1のインプレッションをお届けします。

 

 

単なる電気自動車ではなく、G580は正真正銘のGクラス

▲試乗したG580を高評価した土屋圭市さん

土屋氏:以前V8エンジンのG63に乗っていたことがあるけれど、快適でめちゃくちゃ良かった。そして今回試乗したのは、Gクラスの最新モデルであるG580 with EQ Technology Edition1。見た目はガソリン車と変わらないけれども、サイドストリップラインやインテリアの青いステッチなどでさりげなくBEVをアピールしている。メルセデスはこういうとこがうまい。

▲写真上がAMG G63、下がG580のフロントシート。G580は青いステッチがBEVらしさを演出

土屋氏:インテリアはGクラスの伝統を引き継いでいるけれど、LEDを上手に使っていて先進性をアピールしている。リアシートは足元のスペースが広い。フロントシートの下にスッポリと足首まで収まるので快適に移動できる。

 

注目のドライブだが、4つのモーターのトルクは合計で1164Nmを発揮する。実にAMG G63よりパワーがあるので、車両重量3トン超えのボディをスムーズかつ静かに加速させる。この紳士的なフィーリングはまさに高級車そのものだ。

▲ 搭載するパワートレインが異なっても、AMG G63、G580ともにリアの足元のスペースは余裕タップリ

土屋氏:20インチの大径ホイールを装着しているけれど、サスペンションがしっかりと仕事をしてくれるので路面からの振動を抑えてくれる。そのおかげでフラットで快適な乗り心地を実現している。オンロードを走行している時はラグジュアリーカーそのもの。2018年のアップデートでステアリング形式も変わったからGクラスは本格オフローダーでもあり、ラグジュアリーカーという2つのキャラクターをもっていると思う。

 

個人的にはエンジンの音や振動が好きだけど、G580が走行時にV8のサウンドを聴かせてくれるのはGクラスのオーナーの気持ちをわかっているうえでの演出。Gクラスには他に似ているモデルがないから自分用にはAMG G63、奥様用にBEVのG580という2台持ちの人も出てくると思う。それくらい他のクルマにはない魅力を持ったクルマだから。

▲G580の充電ジャック。急速充電はチャデモ対応だ

以上、ドリキンこと土屋圭市さんの絶賛コメントでした。これまでのメルセデルオーナーはGクラスとSクラスセダンやEクラスセダンの2台持ちが一般的でしたが、もしかすると今後は同氏がおっしゃるようにGクラスの2台持ちというオーナーも増えていくかもしれませんね。

 

宮園輸入車販売ではBEVである、G580の試乗車をご用意しております。気になる方はぜひお問い合わせください。

 

※試乗車情報は2025年3月現在の情報です。最新の情報はHP、または店舗までお問い合わせください。

 

(萩原文博)

萩原文博(はぎはら・ふみひろ)
AJAJ会員。大学在学中から中古車情報誌の編集部にアルバイトで参加。卒業後は編集者として企画立案し、ページ製作を行う。2006年からフリーランスエディター/ライターとして独立。2015年からは、新車カタログ本製作を担当し年間200台以上の新車試乗・撮影を行っている。

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