2025.01.30

今や貴重なオープンモデル。メルセデスAMG SLロードスターちょい乗りレビュー

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SLといえば、メルセデス・ベンツのオープン2シーターの最高峰。初代にあたる「300SLクーペ」の車名は知らない方でも、「石原裕次郎の愛車の、あのガルウイングのメルセデス」と言えばうっすら記憶にあるかも知れません。そんなSLも世代を重ねて今や7代目。現行よりメルセデスAMG専用モデルとなり、さらには後部座席が増え2+2のオープン4シーターとなりました。屋根が開くモデルは、グループ全体を見渡しても2024年デビューのCLEカブリオレと、このSLロードスターのみ。今や貴重な存在となったオープンスポーツ、そのボトムラインとなるSL 43の外観チェックとちょい乗りレビューをお送りします。

 

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伝統と革新──7代目SLの進化したスタイル

 

ガルウイングのギミックを再現していた300SLのチョロQが好きだった、ライターの熊山です。

 

SLといえば、メルセデス・ベンツのオープン2シーターの最高峰。初代にあたる「300SLクーペ」の車名は知らない方でも、「石原裕次郎の愛車の、あのガルウイングのメルセデス」と言えばうっすら記憶にあるかも知れません。

▲車名は知らなくても誰もが一度は見たことがあるであろう、初代300SLクーペ(ウィキメディア・コモンズより)

そんなSLも世代を重ねて今や7代目。現行のR232型からはメルセデスAMG専用モデルとなり、さらには後部座席が増え2+2のオープン4シーターとなりました。なお、現在のラインナップで、屋根が開くモデルはメルセデスグループ全体を見渡しても2024年デビューのCLEカブリオレと、このSLロードスターのみ。今回は、いまや貴重な存在となったオープンスポーツ、SL 43の外観レビューとちょい乗り試乗記をお送りします。

 

ちなみにSLは、「軽いスポーツカー」を意味するドイツ語”Sport Leight”の略。英語直訳すると、そのまんま「ライトウェイトスポーツカー」というわけですね。

▲メルセデスAMG SL 43。車両本体価格は1765万円

メルセデスAMG SLシリーズの2025年日本仕様は2グレード展開。大きく異なるのは駆動方式とエンジン形式、および排気量です。

 

・SL 43 FR 直4ターボ 1991cc
・SL 63 4MATIC+ 4WD V8ターボ 3982cc

 

今回ご紹介するのは、このうちのSL 43。さっそくメルセデス・ベンツ西新宿でご対面したのですが、低くワイドなスタイルに、獰猛な印象の縦ルーバー「AMG専用グリル」が、兄貴分ともいえるメルセデスAMG GTシリーズを彷彿とさせます。いまやAMGパッケージでおなじみの縦グリルですが、そもそもAMG専用グリルは初代300SLが出場したレースに由来するので、むしろSLがオリジナルなのです。

▲縦方向のルーバーが入った、AMG専用グリル。AMGモデルやAMGパッケージでおなじみ

オープンエアを楽しむ──電動ソフトトップと実用性の両立

 

気になる7代目SLのオープン方式は、電動格納式ソフトトップ。5代目、6代目はSLK由来のバリオルーフ(電動格納式ハードトップ)でしたが、原点回帰ということでしょうか。これによってさらなる軽量化と低重心化がはかられています。開閉スイッチは、バックミラー周辺やセンターコンソールに物理ボタンとして配置しているのかと思いきや、MBUXの巨大なセンターディスプレイ内にてタッチでおこなうのが今風。

 

その開閉もスピーディで、左右のサイドトノカバーが羽尾のようにくるりと回転して収納される様は見とれてしまうほどです。

▲ソフトトップのオープンシーケンス。ひらりと回転する左右のサイドトノカバーに注目

幌を収納しても十分なトランクスペース、収納スペースを確保しているのも、新型SLの魅力。ソフトトップクローズ時でも213Lの容量を確保しているほか、後部座席を縦方向に利用すればゴルフバッグ2個の運搬も不可能ではありません。

▲トランクルームは貴重品などを入れておくのに十分な広さ

コクピットよりもむしろ気になる後部座席の座り心地は──実際に身長170cmの熊山が乗り込んでみたところ──当然足回りは窮屈で、ソファというよりはワーキングチェアに座っているような骨盤が直立した姿勢となり、いきおい前席のヘッドレストよりも顔が飛び出るかっこうとなります。大人の着座は不可能ではないものの、このまま高速道路に侵入するのはちょっと厳しいため、いざという時でも4人で近距離移動できるエマージェンシー用、もしくは子ども用兼荷物置き場と割り切った方が良いかも知れません。いやしかし、どうしても大人4人がしっかり乗りたいという場合はCLEカブリオレがオススメです。

 

とはいえ、これがオープン2シーターだと手荷物置き場にも困ってしまうほどなので、スーパーでたくさん買い物をしても余裕があるスペースはそれだけでもありがたいもの。つまり、SLは日常使いできるオープンカーと言えます。

▲乗り降りは意外と楽々なのですが、身長160cmの女性でも決して広々とはいえない後部座席。あくまで緊急用か荷物置き場としてとらえた方がよいでしょう

最新技術で楽しむ走り──SL 43のプチインプレッション

 

気になるドライバビリティについては、ブログ編集スタッフのインプレッションをお届け。

 

ブログ編集スタッフ:新型SLのポイントは、F1のペトロナスチームが使っているターボシステムを、世界で初めて量産車に応用したエレクトリック・エグゾースト・チャージャー(以下、EEC)を搭載したマイルドハイブリッド仕様だと思います。

 

このEECはなにかと言いますと、従来の排気ターボチャージャーに電気モーターを組み合わせ、加速時に必ず発生するターボラグを大幅に解消するというもの。つまりは、継ぎ目ないリニアな加速感が味わえるというわけです。

▲この開放感こそオープンモデルの醍醐味。速度感も演出されます

ブログ編集スタッフ:とはいえ、これまでの「メルセデス」と変わることのないテイストは損なわれていないので、運転に不安は感じませんでした。381PS/480NmはAMGとしてはそれほど突出した出力ではありませんが、ライトウェイトモデルとしての評価の高いSLらしさを充分に味わえるスペック。SL43は2グレード中の下のモデルですが、一般道では2L直4エンジンがむしろジェントルな走りを提供してくれます。

 

またコンフォート、スポーツ、スポーツプラスといったドライブモードが用意されているのですが、コンフォートモードでも道路インフォメーションをしっかりとひろい、ブレーキがガツンと効く超タイトな足回りが楽しく、スポーツカーに乗っている醍醐味を十分に味わえます。

▲風の巻き込みも少なく、一般道を走行中はオープン状態でも髪が乱れない

ブログ編集スタッフによると、新型SLで試していみたい(いただきたい)シチュエーションは──

 

・コンフォートモードで、高速道路クルージングを楽しむドライブデート
・スポーツモードで、ワインディングを(法定速度で)駆け抜けるスポーティドライブ
・スポーツプラスモードでの、おひとり様ストレス解消モード

 

とのこと。やはり、SLは今や数少ないスペシャリティカー的な存在だということがうかがえます。いやはや、こんなクルマでデートできたら最高でしょうね。

 

ブログ編集スタッフいわく「とにかくカッコいい1台」のSL43。気になった方はぜひメルセデス・ベンツ西新宿または宮園輸入車販売のメルセデス・ベンツ正規販売店までお問い合わせください。

▲ロングノーズ・ショートデッキのスタイルは変わらず、ソフトトップの開閉どちらもセクシーなスタイリング

(熊山准)

中古車情報誌『カーセンサー』(リクルート)編集部を経て、ライターとして独立。クルマに限らずおもちゃ、家電、ガジェットなどモノ全般が大好物。現在はライフワークの夕焼けハントが嵩じて東京と沖縄で二拠点生活中。いま欲しいメルセデス車はCクラスワゴン

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