2022.07.20

もしもの時の切り札!? メルセデスが導入したQRコードの狙いとは?

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メルセデスのドアや給油口フラップを開けたときに見かけるQRコード。これは一体何のために貼ってあるのかご存知でしょうか? 日本の自動車市場ではまだメルセデスしか導入していない、新しい安全への取り組みをご紹介します。

 

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突然ですがみなさん、メルセデス・ベンツの車両ドアや給油口フラップを開いたときに、何やらQRコードが貼ってあるのをご存知でしょうか?

 

スマホ世代のわたくし兼本は、あの独特な四角形を見ると無意識にカメラを向けてしまいます(笑)。

 

身近なところでは、食品パッケージなどに産地情報や広告用コンテンツのリンクとして貼られていたり、さまざまな商品に店側の管理用タグとして付いていたりすることが多いQRコードですが、メルセデスの車両に付いている理由はちょっと違った目的にあります。

 

実はこれ、メルセデス・ベンツ日本が2014年より導入している「レスキューステッカー」というもの。安全性には定評があるメルセデスですが、このステッカーとレスキューがどう関わってくるのでしょうか。

 

事故予防のためあらゆる安全機能を満載しているメルセデス車ですが、それでも万が一の事態は避けられません。そんなときに大切なのは、乗員をいち早く救助すること。しかし、電子化が進み、複雑な構造部品や大容量のバッテリーが散りばめられた現代のクルマは、レスキュー隊員にとっては巨大なブラックボックスです。

 

そこで、QRコードにはそれぞれモデル別に注意点を記した「救助カード」(ウェブサイトのページ)をリンク。レスキュー隊員はスマホカメラでQRコードを読み取るだけで、車体を切断する際に注意が必要なエアバッグやバッテリー等の位置を即座に把握することができるというわけです。

▲実際にCLAのQRコードを読み込んでみました。給油マークのピクトグラムは赤い表示、つまりこのクルマはクラス2の燃料を使用しています(ガソリン、エタノールなど)

▲切断時に注意するべき部品がある位置が、すぐわかります。更にレスキューガイドラインに接続すると、レスキュー隊向けの救助方法の手引きもチェックできます

▲ドアロックが解除されている時にフラップを押すと開く給油口に1枚

救助者だけでなくレスキュー隊員等の二次災害防止にも役立つのが画期的なレスキューステッカー。今までありそうでなかった取り組みですよね。

 

貼り付け場所は、車外から確認しやすく、同時に激しく損傷を受ける可能性が低い給油口フラップと、その反対側のドアを開けたボディ側の2ヶ所。この場所は、ほとんどの事故で損傷をあまり受けない場所として統計的に証明されているのだそうです。

 

▲給油口の反対側のドアを開けたBピラー部にもう1枚。上のステッカーには車台番号が記されています

ちなみにこのレスキューステッカー、実際に救助現場で役立っているのでしょうか?

 

総務省消防庁のホームページによると、まず、車両事故に対する救助活動の課題として、バッテリーやエアバックの位置の把握が挙げられています。そこでメルセデス・ベンツのQRコードにも触れていて、他社の車種にも普及してゆくと有効である、とも記載されています(令和2年度救助技術の高度化等検討会報告書 消防庁HPより)。

 

さらに、総務省消防庁の担当者に問い合わせたところ、全国に724ヶ所ある消防本部その全てにメルセデスのQRコードの存在を通知しているということでした。

 

また、この取り組みを始めたダイムラー社(当時)は他社にも広く浸透することを願い、特許申請を見送っているそうです。素晴らしい…。

 

私も、一人でも大切な命が助かるならば、ぜひとも全てのクルマに導入される日が来ることを願ってやみません。なお、1990年以降のモデルにつきましても、レスキューステッカーのお取り寄せが可能です(有料)。お気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。

 

(兼本実花)

  • プロフィール

兼本実花(かねもと・みか)

弊社受付、業務を経てBDCに所属。クルマにはそれほど詳しくはないけれど、むしろそれを武器(?)にメルセデスをあまり知らない方や、購入権を握る奥様目線に立ってさまざまな情報を発信したいと思います。

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