自動車保険は補償内容などにより細分化されていますが、事故などで自分のクルマが損害を受けたとき修理費用を補償するのが「車両保険」。車両保険は条件によって高額になるので加入をためらう人もいます。しかし万が一クルマが盗難被害に遭った際、また当て逃げや燃料の入れ間違いなども補償されます。自動車保険、そして車両保険がどのような内容か。万が一に備えて車両保険には加入するべきかなどを考えていきます。
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自動車保険への加入はドライバーの責任です
昨年に人生初となる2台目のクルマを購入し、自動車保険も2台分加入した高橋です。
みなさんは自動車保険にはもちろん加入していますよね。事故の際に役立つ自動車保険には、「自賠責保険」(強制保険)と「自動車保険」(任意保険)の2種類があります。自動車保険への加入はあくまで任意ですが、現代では事故を起こしてしまった際の補償金額が高額になり、ケースによっては億を超えることもあります。それを補償することを考えると、自動車保険への加入はドライバーの責任と言っても過言ではありません。
自賠責保険や自動車保険の種類、補償内容は次のようになっています。
●自賠責保険
原付を含む全てのクルマに加入が義務付けられている保険。加入しないと公道を走ることが認められない。
補償内容:対人賠償のみで補償額にも限度がある(限度額を超える分は自己負担)。
●自動車保険
加入するかをクルマの所有者(使用者)の意思で決められる保険。自賠責保険でカバーされない部分が補償される。
いくつかの自動車保険があり、ほとんどはそれらがパッケージ化されている。
そして自動車保険には次のものがあります。
①対人賠償保険
事故の相手方の「人」に対して補償。まずは自賠責保険を使って補償し、カバーしきれない部分を対人賠償保険で補償する。
②対物賠償保険
事故の相手方の「物」に対して補償。相手のクルマ、ぶつかってしまった家や店舗、ガードレールや電柱などの構造物が対象。
③人身傷害保険
クルマに搭乗中の事故による怪我や死亡を補償する保険。運転者や同乗者が補償の対象。
④車両保険
自分のクルマに対して補償が発生する保険で、事故やいたずら、当て逃げ、盗難などが対象になる。車両保険には「一般型(フルカバー)」と「エコノミー型」があり、補償範囲や保険金額が変わってくる。
車両盗難件数は激減。でも今でも高級車が狙われている
万が一愛車が盗難の被害に遭ったときのために車両保険に加入するべきか? これを考えるために、現在車両盗難の被害がどれくらいあるかを調べてみました。
警察庁が発表しているデータによると、車両盗難の認知件数は平成15年(2003年)が6万4223件だったのに対し、令和5年(2023年)は5762件と1/10以下に減っています。件数が減少したのはイモビライザーなどの盗難防止装置が普及したことが大きな理由でしょう。ただ、ここは窃盗犯とのいたちごっこな側面もあります。
車両盗難の被害が多いのは人気がある高級車が中心。窃盗犯が高値ですぐに転売できるものですね。当然ですが、これらのクルマには盗難防止装置が備わっています。それでも被害に遭っているのが現状です。
車両保険に入っていれば盗難や高額な修理費用も補償
では、盗難や万が一の事故のことを考えて車両保険には加入しておくべきなのでしょうか。私は保険料が大きな負担にならないのであれば、加入しておくべきだと考えます。
損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」によると、2023年3月末時点での車両保険への加入率(全国)は46.6%。正直、かなり低いなと思いました。というのもこのデータは車両の保有台数から比率を計算しているため、そもそも自動車保険自体に加入していない人も含んでいます。たとえば対人賠償保険の加入率(全国)は75.2%でした。ただ、これらの数字には共済が含まれていないため実際の加入率はもっとよくなるはずです。
プレミアムブランドであるメルセデス・ベンツのモデルは当然車両価格が高額になるため、万が一盗難の被害にあった時のことを考えると、保険に加入しておいたほうが安心できます。また、万が一事故に遭ってしまった際の修理費用も高額になる傾向があります。
もちろん、対人賠償や対物賠償に比べると車両保険は保険料が高めに設定されていて、しかも車種により保険の料率クラスが異なります。
ただ、保険の「運転者年齢条件」を活用することで保険料は安くなりますし、保険を使っていなければ等級も高くなって保険料が割引になります。加入時はぜひ車両保険も含めて見積りを取ってみてください。もし一般型が高いと感じたら、エコノミー型を選択することもできます。車両盗難はどちらも保険料支払いの対象になります。車両保険に加入していれば他車との衝突や当て逃げの被害に遭った際の修理費用も補償。一般型の車両保険なら単独事故での修理費用も補償対象になります。
ひとつ注意しておきたいのが「車両保険金額」です。これは保険料のことではなく保険金の支払限度額のこと。車両保険金額は車両の購入代金ではなく保険契約時の時価相当額で決まります。そして自動車保険は毎年契約するため車両保険金額は毎年下がっていき、何年か経つともし車両盗難の被害に遭ったとしても同じクルマを新車で購入できるだけの金額が支払われないケースが出てきます。気に入ったクルマに長期間乗る人は、どこかのタイミングで加入する保険の見直しをしてもいいかもしれないですね。
盗難被害に遭ったクルマが途中で見つかったら?
まずはすぐに警察に連絡します。110番通報すれば警察官が現場にやってきてくれるので、状況やクルマのナンバー、クルマに積んでいた荷物などを報告します。警察に盗難被害届を出すと、受理番号が発行されます。この番号は保険申請などで必要になるのでなくさないようにしましょう。
警察と合わせて、保険会社にも連絡します。保険会社は車両盗難が発生すると保険金の支払いが可能かを調査します。調査には時間がかかるので、この間に税関に連絡(盗難車の海外輸出を防ぐため)するとともに、運輸支局でクルマの一時抹消登録手続きを行います(自動車税や自賠責保険料の還付を受けるため)。ただ、信販会社のマイカーローンなどを利用してクルマを買った場合はクルマの所有権が信販会社にあるため、一時抹消登録の申請ができません。この場合は信販会社に連絡し、どう対応したらいいかを相談してください。
保険会社の調査の結果保険金が支払われることが決まったら、クルマの名義を保険会社に切り替えます。そして一定期間後に保険金が支払われます。
難しいのが、盗難されたクルマが途中で見つかった時。これは見つかったタイミングにより対応が替わってきます。
▶︎調査が終了する前→損傷がある場合は保険で修理する。
▶︎調査終了後、保険金が支払われる前→保険金を受け取るか、損傷箇所を保険で修理するかを選択する。
▶︎保険金支払い後、約款に記載される一定期間内→保険金をそのまま受け取るか、支払われた保険金を返金して見つかったクルマに乗る。
▶︎約款に記載される一定期間後→保険金をそのまま受け取る(車両の引き取りは不可)
冒頭で紹介した警察庁の資料を見ると、令和5年だと車両盗難の認知件数5762件のうち42.7%にあたる2462件は検挙されています。これは嬉しいことなのですが、盗難された車両は車内のパーツを外すためにガラスが割られていたり、強引にドアをこじ開けられていたりすることもあります。以前、私の友人が車両盗難に遭い後にクルマが見つかった時は、盗難時にクレーンで持ち上げてユニック車の荷台に載せられたようで、ルーフがぐちゃぐちゃの状態だったそうです。とてもじゃないけれどそのクルマを受け取って乗る気にはなれなかったと話していました。
悲惨な被害に遭わないためにも、まずは車両盗難に遭わないようクルマをしっかり管理することが大切。間違っても車内にキーを置きっぱなしにしてエンジンを掛けたままクルマから離れるようなことは避けましょう。そして万が一のために、メルセデス・ベンツ車を購入したら正規ディーラーで車両保険に加入することをおすすめします。メルセデス・ベンツの自動車保険プログラム「Mercedesあんしんプラスα」なら通常の保険内容に加えて、ガラスの交換サービスやタイヤのパンク修理・新品交換サービスが付帯します(どちらも保証限度額があります)。ぜひご検討ください。
(高橋満)
高橋満(たかはし・みつる)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経て1999年にエディター/ライターとして独立し、自動車、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。最近はゴルフに興味が出てきていて(まだデビュー前ですが)、Eクラスステーションワゴンのようなラゲッジが広くて快適に移動できるクルマに興味津々。
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